日本森林学会誌
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論文
未利用林地残材の収集が林分経営戦略と収支に与える影響
中間 康介太田 徹志溝上 展也吉田 茂二郎
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2011 年 93 巻 5 号 p. 226-234

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抄録

主間伐等の施業を行う際, 用材以外に端材, 枝条, 形質不良材, 切り捨て材等の残材が発生する。近年, 化石燃料価格の高騰等の外部環境の変化により, これらのエネルギー資源としての価値が高まってきつつあるが, 未利用残材収集を考慮した場合の林分経営に関する研究は少ない。そこで本研究では未利用残材収集を考慮した場合の最適林分経営を, 動的計画法を用いて検討し, 最適林分経営戦略とその収支の変化を観察した。一般的な九州地方のスギ一斉林における全木・全幹集材施業を想定し, 残材発生量は丸太歩留率の損失分とし, 間伐に関しては全量を残材とする間伐を選択肢に組み込んだ。残材価格を3.0∼9.0円/kgで変化させたシミュレーションの結果, 最適輪伐期や間伐計画に大きな差はみられなかったが, 残材価格の上昇に従い間伐の内容は全量残材向けの間伐へとシフトしていくことがわかった。林業経営体の経営収支に関しては, 残材価格の上昇に従いSEVは増加し, 残材価格6.0円/kgの場合, 残材収集を行わない場合と比較してSEVが約15∼63%増加した。その効果は主に主伐時の残材収集によるものであり, 間伐由来の残材収集が与える影響は比較的小さかった。

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© 2011 一般社団法人 日本森林学会
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