日本森林学会誌
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アンケート調査に見るブナ科樹木豊凶予測調査がボランティアの意識に及ぼす影響
野上 達也吉本 敦子中村 こすも小谷 二郎野崎 英吉
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2013 年 95 巻 1 号 p. 67-70

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抄録
石川県ではクマ大量出没予測のため, ブナ, ミズナラ, コナラの豊凶予測調査を県内で自然解説活動を行っているボランティア団体, 石川県自然解説員研究会に委託して実施している。調査への参加で, どのように意識が変わり自然解説活動にどのような効果を及ぼしているかを明らかにするため, 調査参加者にアンケートを実施した。その結果, 調査への参加でクマ大量出没とブナ科樹木の豊凶に関して自身の理解が深まり, そのことが自然解説活動にも役立っていることが示唆された。クマによる人身事故防止のためにはクマ大量出没やその背景について広く理解と関心を得ることが重要であるが, 自然解説員への豊凶予測調査の委託は, 副次的にクマ問題に関する知識の普及に寄与していると思われる。また豊凶調査をボランティアに委託する際には, 調査しやすい調査手法の採用, 調査の研修, 調査地や対象木の選定を一緒に行うといった専門家との協働が重要と考えられた。
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© 2013 一般社団法人 日本森林学会
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