日本森林学会誌
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論文
森林環境教育としての「聞き書き甲子園」の社会的意義とその効果
安藤 愛興梠 克久
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2014 年 96 巻 3 号 p. 123-131

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抄録
2002年度から始まった「聞き書き甲子園」は,農林業を営む「森の名手・名人」と高校生が聞き書き取材を通して出会うプロジェクトである。本稿では「聞き書き甲子園」の森林環境教育としての社会的意義と効果を「森の名手・名人」,参加高校生,協賛企業の3者に対するアンケート,聞き取り調査の結果から実証的に論じた。その結果,第1に「森の名手・名人」と高校生との世代間交流の場になること,農林業の知識がない者へ自分の仕事を伝承する機会になること,仕事意欲向上や行動変化の契機になることが明らかとなった。第2に参加高校生に対しては短期的効果として,全国の高校生と交流できたこと,農林業の知識を深める機会になったこと,「森の名手・名人」との出会いの場になった等が挙げられ,長期的効果として,自然環境について考えや行動に変化があった者と専攻や職業の選択,自分の選択の後押しになったと答えた者が半数ずつを占めた。第3に(株)ファミリーマートは協賛の対象を「顧客としての高校生」と捉えている。「聞き書き甲子園」の協賛企業を確保するためには,協賛目的を環境貢献に限定することなく,多角的に捉えることが今後必要である。
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© 2014 一般社団法人 日本森林学会
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