日本森林学会誌
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論文
北海道の平坦な河畔林における高所作業車および落葉模型を用いたヤナギ落葉散布範囲の解明
阿部 俊夫倉本 惠生山野井 克己
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2014 年 96 巻 3 号 p. 132-140

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抄録
河川への落葉供給源となる範囲を明らかにするため,北海道の平坦な河畔林2箇所(赤川河畔林,勇払川河畔林)においてヤナギ類の落葉移動距離を調査した。高所作業車を用いて高さ13.5mまでの葉にマーキングしリタートラップで追跡したところ,樹冠上部の葉は根元から15~25mまでの範囲に散布されており,落下高の低い樹冠下部の葉では根元から5~15mと狭かった。落葉の散布方向は基本的に風向により決められており,最大散布距離には風の強さと正の相関があった。また,落葉模型を用いて晩秋~晩春の林床での移動を調べたが,平均移動距離は0.04~2.15mと極めて短かった。落葉模型の移動方向は林床付近の強い風(≧5m/sまたは≧6m/s)の風向分布と関係していた。積雪地域の平坦な河畔林では,林床での落葉移動よりも落下時の移動が卓越すると考えられた。
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© 2014 一般社団法人 日本森林学
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