日本森林学会誌
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論文
シデコブシ自生地の皆伐後1 年目の萌芽・実生更新
玉木 一郎野村 勝重野村 礼子楯 千江子小木曽 未佳宮上 佳弘
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2014 年 96 巻 4 号 p. 193-199

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抄録

シデコブシは東海地方に固有の低木種で絶滅が危惧されている。本研究では皆伐後の同樹種の萌芽・実生更新の過程を明らかにするために,岐阜県多治見市の自生地に30 m × 10 m の調査区を設置し,2012年1月に皆伐した。4~11月にかけてシデコブシの萌芽・実生更新の様子を調査した。萌芽の合計数ではソヨゴとシデコブシ,ノリウツギ,タカノツメが優占していた。シデコブシの近傍に位置する自身よりも萌芽高の大きい個体の大半はノリウツギであったため,同種が萌芽更新の当座の競争相手になると考えられた。シデコブシの伐根と個体の死亡割合は19% と12% であった。個々の伐根は齢やサイズと無関係に死亡していた。その結果,個体を構成する伐根が少ない個体は死亡しやすい傾向を示した。萌芽数は伐根直径が12~20 cm のあたりでピークを示した。したがって,これらのサイズがシデコブシの萌芽更新に最適であると考えられる。皆伐後,シデコブシの当年生実生が175個体発生し,これらは埋土種子から発生したと考えられた。

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© 2014 一般社団法人 日本森林学会
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