本研究は最大9年経過した木堰堤の腐朽実態を明らかにするため, 長野県全域で成長錐による腐朽調査を実施し, 密度ρと含水率を求めた。今回のρの調査結果より, 中条や鴇久保では繊維飽和点未満でρが小さくなる部材が多いことから, 含水率が低下するほど腐朽が遅くなる可能性があった。ρと経過年の間には袖部と本体ともに直線関係があり, 年数を経過するほどρが減少し, 標準偏差σと経過年の関係からばらつきが徐々に大きくなる。ρが消失するまでの年数を計算したところ, 袖部で約20.0年, 本体で約25.5年となった。袖部と本体には5年程度の差が生じ, 部位による年数の違いが表れた。また, σと経過年の関係から示されるように, 木堰堤は設置環境や施設の構造条件の影響を受けるため, ρ が消失するまでの年数は施工地によって上下すると考えられた。