抄録
ドイツで進展する州有林の管理形態の変化の現状について,ドイツ各州にわたる把握・整理を行うとともに,新たな州有林管理形態の公企業としての性格の把握を試みた。その結果,(1) 2000年代当初に一部の州でみられた州有林管理形態の変更は既にドイツ全州へ広がっており,より企業性の高い会計方式が採用されるようになった,(2) その背景には州政府全体の行政改革の展開がある,(3) ドイツ各州が採用した州有林管理形態は,州公企業もしくは公法上の営造物(公社)のいずれかであり,私法人化は選択されなかった,(4) これらの州有林管理形態の変化は,統一森林行政の採用の有無とは直接には対応していない点が明らかとなった。