日本森林学会誌
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短報
ヒノキ原木栽培ナメコ中の環境放射性セシウム汚染の低減化
原口 雅人三宅 定明吉田 栄充大野 武
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2016 年 98 巻 3 号 p. 128-131

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抄録

2011年3月の福島第一原子力発電所事故後,原木栽培ナメコは他の露地原木栽培きのこに比べ,子実体の放射性セシウム濃度が高い傾向であった。そこで,ヒノキ原木によるナメコ栽培に取り組んでいる埼玉県ときがわ町内において,2013年4月から場所・林相の異なる5カ所で栽培試験を開始した。各試験地には,無処理区,土壌表層0~5cm除去区,寒冷紗被覆区を設けた。2014年10~11月に子実体を収穫した。子実体の放射性セシウム(134+137Cs)濃度は無処理区の1本のほだ木で45Bq/kg生重であったが,無処理区の平均値は13Bq/kg生重であり,十分に安全であった。土壌表層0~5cm除去区の放射性セシウム濃度の平均値は8.5Bq/kg生重で他の2区に対して有意に低かった。また,子実体中の放射性セシウムの134Cs/137Cs値は,今回の事故により放出された放射性セシウムの値,もしくは調査地のリター層の値と一致しており,土壌表層や原木の値とは異なっていた。

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© 2016 一般社団法人 日本森林学会
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