日本森林学会誌
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スギコンテナ苗の形状と植栽当初の蒸散速度
杉原 由加子丹下 健
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2016 年 98 巻 4 号 p. 146-150

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抄録

コンテナ苗は,キャビティの容量が小さいために根系発達が制約されるが,施肥と潅水によって養分や水分の強いストレスを受けずに育てられる。そのため地下部に比べて地上部の大きい形状になりやすく,植栽後に強い水ストレスを受ける可能性がある。本研究では,スギコンテナ苗の形状と植栽当初の蒸散速度との関係を調べ,山出しに適したスギコンテナ苗の規格基準に関する基礎的な知見を得ることを目的とした。苗高の高い苗木では形状比の大きく,細根量当たりの地上部乾燥重量(地上部/細根比)が大きい苗木が多かった。植栽当初の蒸散速度は,地上部/細根比が大きい苗木で低い傾向が認められ,蒸散速度が低い苗木では地上部乾燥重量当たりの細根成長量(植栽後約2カ月間)が小さい傾向が認められた。以上から,苗高の高いコンテナ苗では,植栽当初に強い水ストレスを受け,葉量に見合う根量になるのにより時間がかかる苗木の割合が高い可能性を示唆した。

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© 2016 一般社団法人 日本森林学会
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