2016 年 98 巻 4 号 p. 176-179
ヒノキの通年植栽の可能性を検証するために,岡山県の国有林において,夏(2013年8月),秋(2013年10月)および春(2014年5月)に植栽されたコンテナ苗と裸苗の活着と成長を2014年10月に調査した。植栽時期に関わらず,コンテナ苗は裸苗より高い活着率を示した。夏植栽においてコンテナ苗が裸苗よりも著しく高い活着率を示した(コンテナ苗,90%;裸苗,57%)。夏植栽において苗タイプ間に直径成長量の差はみられなかったが,秋と春植栽においてコンテナ苗は裸苗より小さい直径成長量を示した。また,夏植栽においてコンテナ苗は裸苗よりも大きい樹高成長量を示し,秋と春植栽では苗タイプ間に樹高成長量の差はみられなかった。植栽に不適とされてきた夏の植栽においてコンテナ苗が裸苗に対して優位性を示したことから,コンテナ苗を用いることでヒノキの植栽可能期間を拡大できることが示された。