日本森林学会誌
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論文
落葉樹林の林冠構造がヤドリギの分布に与える影響
安藤 正規鍵本 忠幸加藤 正吾小見山 章
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2016 年 98 巻 6 号 p. 286-294

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抄録

落葉樹林に生育する樹上性の半寄生植物であるヤドリギ (Viscum album L. subsp. coloratum Kom.) の分布に,林冠構造が与える影響を検討した。落葉樹林に170×190m のプロットを設置し,各立木 (胸高直径≧20cm) のヤドリギの有無を記録した。立木位置,樹冠投影面積,樹高,梢端高 (樹高+標高) をもとに,解析木からある距離の円内に存在する立木本数を,各解析木の孤立や突出の指標とした。各解析木周囲の立木本数とヤドリギの分布との関係を調べるために,一般化線形混合モデルによるロジスティック回帰分析を行った。解析木周囲の立木本数の増加は,ヤドリギの存在に有意な負の効果を示した。梢端高を考慮しない立木本数のカウント方法に比べ,解析木より梢端高が高い立木のみを対象としたカウント方法においてモデルの妥当性が高かった。落葉樹林において,樹冠の孤立と突出が,ヤドリギの分布を決める重要な要因であると考えられた。ヤドリギの分布は林冠木の空間獲得競争に関係していることが示唆された。

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© 2016 一般社団法人 日本森林学会
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