日本森林学会誌
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短報
秋田県における植栽密度の異なるスギ若齢林の林分構造と成長
野口 麻穂子和田 覚
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2017 年 99 巻 1 号 p. 41-45

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抄録

低密度植栽がスギ人工林の林分構造と成長に及ぼす影響を明らかにするため,1,000,2,000本ha-1 および従来の植栽密度の2,500本ha-1 で植栽後,11年が経過した秋田県の林分において調査を行った。1000本区ではスギ植栽木の胸高直径および直径成長量の平均値が有意に大きかった。しかし,樹高も1000本区で高い傾向を示したこと,形状比と生枝下高に植栽区の間で差が認められなかったことから,植栽密度がもたらす個体間競争の違いが植栽木のサイズと形状に及ぼす影響は現時点では限定的と考えられた。曲がりや二又などの形質不良木の割合は,植栽密度が低いほど高くなる傾向を示した。1000本区と2000本区ではスギ以外の天然更新木の幹密度が全立木密度の40%以上に達し,スギの樹高の中央値を上回る幹が従来区に比べて多かったことから,天然更新木による被圧がスギの樹高の顕著なばらつきをもたらしている可能性が示された。

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© 2017 一般社団法人 日本森林学会
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