日本森林学会誌
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秋田駒ケ岳のイヌワシ行動圏におけるノウサギの生息密度と森林植生との関係
阿部 聖哉梨本 真矢竹 一穂松木 吏弓石井 孝
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2005 年 87 巻 2 号 p. 117-123

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抄録

イヌワシの主要な餌動物であるノウサギの生息密度に影響を与える要因を調べるために,糞粒法による生息密度の調査と,森林構造や林床植生の現存量に関する調査を行った。調査の結果,植生繁茂期(7~8月)は生息密度と草本の現存量との間に正の相関が認められたが,積雪期(11~4月)では積雪上の植物の推定現存量との間に相関は認められなかった。また,植生繁茂期,積雪期,展葉期(5~6月)の全ての時期において,生息密度と林冠高との間に正の相関が認められた。以上の結果より,積雪期以外には草本植物現存量がノウサギの生息密度を規定する要因と考えられる。一方,林床植生の現存量を間接的にコントロールし,天敵からのカバー効果も併せ持つ林冠高が生息密度を推定する有効な環境変数であると考えられた。

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