日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
メシル酸イマチニブ投与後に十二指腸に穿通した巨大十二指腸gastrointestinal stromal tumorの1例
山野 武寿池田 義博仁科 拓也村嶋 信尚中山 文夫松本 剛昌伏見 聡一郎飽浦 良和
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2013 年 46 巻 3 号 p. 175-182

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抄録

 症例は56歳の女性で,腹部膨満と貧血を主訴に来院された.腹部MRIで出血を伴う巨大卵巣囊腫と術前診断され,緊急開腹手術を施行したところ卵巣腫瘍ではなく巨大後腹膜腫瘍であり,穿破部からの腹腔内出血を認めた.出血性ショック状態であったため,腫瘍をサンプリングし,穿破部位を縫縮により止血し,手術を終了した.病理組織学的検査でgastrointestinal stromal tumorと診断された.腫瘍縮小後の切除を期待してメシル酸イマチニブ投与を開始した.内服開始後12日目に腫瘍が十二指腸腔内に穿通したため,腫瘍と十二指腸の一部を切除した.腫瘍は,十二指腸原発と病理組織学的検査で診断され,急速な腫瘍壊死が穿通の原因と考えられた.メシル酸イマチニブ投与に際しては,まれに消化管穿孔・穿通を経験するので,注意深い経過観察が必要である.

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