2015 年 48 巻 2 号 p. 165-171
症例は77歳の男性で,1990年に膀胱癌に対して膀胱全摘+Indiana pouch造設術を施行した.2012年7月に血尿を認め,CTでIndiana pouch内に隆起性病変,リンパ節転移,多発肝転移を認めた.Indiana pouch内の腫瘍からの生検で大腸高分化腺癌と診断された.遠隔転移を伴う大腸癌であり,まずmFOLFOX6+bevacizumab療法を6クール施行した.化学療法後に原発巣およびリンパ節転移,肝転移の縮小を認め,Indiana pouch摘出術+尿管皮膚瘻造設を施行した.以降,化学療法を継続中である.Indiana pouch内に発生した大腸癌の報告は現在までに自験例を含めて11例のみであり,非常にまれである.若干の文献的考察を含めて報告する.