日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
直腸癌切除により改善を認めた続発性後腹膜線維症の1例
園田 至人篠田 公生橋場 隆裕佐野 渉知久 毅十川 康弘豊田 亮彦
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2020 年 53 巻 3 号 p. 264-271

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抄録

症例は62歳の男性で,下痢,浮腫,労作時動悸を主訴に前医受診し,直腸癌の疑いで,精査加療目的に当院紹介となった.下部消化管内視鏡で直腸S状部に全周性2型腫瘍を認めた.生検で高分化型管状腺癌の診断であった.造影CTでは両側総腸骨動脈,腹部大動脈周囲に軟部陰影を認め,後腹膜線維症を疑った.高位前方切除術,後腹膜生検を施行し,病理結果を踏まえ,直腸癌(pT3pN0cM0,pStage II)および後腹膜線維症と診断した.術後はステロイド投与なく後腹膜軟部陰影は改善した.術後31か月現在,無再発生存中である.本症例は経過から悪性腫瘍関連後腹膜線維症と考えられた.悪性腫瘍根治切除により,ステロイド投与を行わず続発性の後腹膜線維症の改善を認めた症例を経験した.

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