日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
亜全胃温存膵頭十二指腸切除術後腹壁瘢痕ヘルニアに対してendoscopic Rives-Stoppa法を施行した1例
水谷 文俊山本 英夫山本 竜義青山 吉位西垣 英治大森 健治長谷川 洋早川 直和
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2020 年 53 巻 3 号 p. 272-281

詳細
抄録

Endoscopic Rives-Stoppa法(以下,eRives法と略記)では,intraperitoneal onlay mesh法(以下,IPOM法と略記)で使用するタッキングデバイスに起因する疼痛や,IPOM-plus法で行う腹壁縫合に起因する疼痛を回避することができる.症例は76歳の男性で,膵頭部癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後,正中切開創部に径5 cm大の腹壁瘢痕ヘルニアを認めた.前回手術時の疼痛が強くeRives法を選択した.術後3日目に退院したが,鎮痛剤の使用は1回のみであった.退院後2週間で漿液腫を生じたが,保存的治療で消失した.eRives法では,腹腔内留置メッシュによる合併症である癒着や腸管への侵食に起因する腸閉塞,膿瘍形成,メッシュ感染なども回避することができ,有用な術式と考えられた.

Fullsize Image
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top