日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下肝切除術を施行した肝原発perivascular epithelioid cell tumorの1切除例
吉田 俊彦山岸 農山根 秘我松本 拓佐久間 淑子藤野 泰宏富永 正寛
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2020 年 53 巻 6 号 p. 487-495

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抄録

Perivascular epithelioid cell tumor(以下,PEComaと略記)は多分化能を有するperivascular epithelioid cell由来の腫瘍の一群を指し,比較的まれな疾患とされる.症例は45歳の女性で,スクリーニング検査で施行した腹部超音波検査で肝S2に多血性腫瘍を指摘され,肝細胞癌の診断で精査治療目的に紹介となり,腹腔鏡下肝S2部分切除術を行った.背景肝は慢性B型肝炎であり中等度の炎症は認めるものの線維化は目立たなかった.腫瘍径は2 cmで,免疫染色検査でαSMA,HMB45が陽性であったことから肝原発のPEComaと診断した.肝原発のPEComaは特にまれであり,良悪性の診断基準についてはまだ確立されていないが,術前に肝細胞癌との鑑別が困難であったことも含め示唆に富む症例と考えられた.

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