日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
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残胃癌の統計的および臨床病理学的研究
B-II法残胃の癌発生リスクについて
近藤 建山内 晶司佐々木 隆一郎秋山 清次伊藤 勝基渡辺 正横山 泰久高木 弘
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1991 年 24 巻 8 号 p. 2105-2112

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抄録
残胃癌発生リスクを評価する上で, 初回手術後長期経過例の検討が必要である.1960~1964年の良性疾患に対するすべての胃部分切除2,613症例に対するアンケート調査を行い, 20年以上の経過を確認したBillroth-I (以下B-I) 法756例, Billroth-II (以下B-II) 法299例を対象として残胃癌発生率を検討した.残胃癌の発生はすべて男性でB-I法に2例, B-II法に4例みられた.人年法によると, 初回手術時40歳未満のB-II法例では人口1,000人対0.539と最も発生頻度が高く, B-I法0.134の4倍であった.他方, 26例28病変の切除残胃癌症例の検討では, B-II法例で吻合部癌の頻度が13/18 (72.2%) とB-I法例の3/10 (30%) に比べて有意に高く, 特に経過20年以上ではgastritis cystica polyposa内に認められる吻合部癌の存在が特徴的であった.術後20年以上経過したB-II法はB-I法に比べて残胃癌発生リスクが高く, 特に吻合部には逆流十二指腸液を含む癌発生要因が働いていることが示唆された.
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