抄録
肝膵同時切除 (HPD) 9例および肝切除13例を対象とし, 術中肝静脈血酸素飽和度 (Shvo 2) 測定を行い, 術後肝機能との関連につき検討した.Shvo 2値は肝の脱転操作, Pringle法および肝十二指腸間膜内リンパ節郭清の際に低下した.術中Shvo 260%以下低下時間は, 肝切除群では38.5±37.9分, HPD群では60.0±52.7分であった.Shvo 2 60%以下低下時間と術後T.Bil最高値の関係では, 肝切除とHPDをあわせた全例およびHPD群で有意の正の相関を認めた (おのおのp<0.01, p<0.05).術中Shvo2 60%以下低下時間と肝切除終了時の動脈血中ケトン体比の関係では, 全例, 肝切除群, HPD群いずれも有意の相関はなかった.Shvo2は術中の肝虚血侵襲をリアルタイムに反映し, 術後肝不全を予測するパラメーターの1つとして有用である可能性が示唆された.