医療経済研究
Online ISSN : 2759-4017
Print ISSN : 1340-895X
特別寄稿
医療統計の体系化:統計委員会の基本計画に向けて
井伊 雅子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2008 年 20 巻 1 号 p. 5-13

詳細
抄録

日本の公的統計制度は60年ぶりの大改正の途上である。昨年5月に全面的に統計法が改正され、10月には公的統計整備の司令塔としての統計委員会が発足した。本稿では、まず、新統計法改正の背景やその目的、そして昨年10月に発足した統計委員会の役割に関して概観し、医療・介護に関する統計を新統計法の下でどのように整備、体系化していくべきか、いくつか問題提起を行った。
現行の日本の医療統計の問題の一つは、SNAのような明確な体系性が欠如している点である。今後、国民医療費に代わり、SHA(A System of Health Accounts)を基幹となる医療費統計と位置づけ、関係する統計を整備し直す必要がある。指定統計を始め、承認統計や届出統計として行われている調査統計を政策評価に十分に活用することも期待されている。そのためにも、政策部局と調査実施部局との連携も重要となろう。莫大な公費を投じて作成された統計は国民全体の貴重な財産であり、この財産を、公正で有効に活用できる体制を整備することは、国民生活の質の向上に大いに寄与することである。

著者関連情報
© 2008 本論文著者

This article is licensed under a Creative Commons [Attribution-NoDerivatives 4.0 International] license.
https://creativecommons.org/licenses/by-nd/4.0/
前の記事 次の記事
feedback
Top