国民皆保険制度における自由開業制というわが国と類似の医療制度をもつフランスにおいては、増大する医療費を抑制するために、近年多くの改革がなされてきている。例えば、公的な病院サービスについては1983年以降総枠予算制が導入され、さらに1991年の病院改革法改正後は、実際に提供された医療行為の質・量を反映した予算計画作成を可能にするため、フランス版DRGであるGHMを基礎とする医療行為情報化計画(PMSI)の一般化が試みられている。また、フランスの医療の特徴の一つであった「医師による診療行為の自由」についても、医療標準が導入され一定の制限が課されるようになっている。さらに、高齢者の重複受診や不適切な医療サービス利用を抑制するために、一般医による医療管理記録制度なども創設されている。以上のような改革は類似の医療制度を有するわが国の今後の方向性を探る上で、参考になる点が多いものと考えられ、今後、日仏の医療制度の比較研究が活発化することが期待される。