2000 年 8 巻 p. 51-65
公共経済化のなかの医療と福祉の機能連関を、産業連関モデルを2つの側面で拡充して追跡する。拡充とは、物財=サービスの相互誘発の連関モデル、および生産誘発と所得・消費の追加誘発の波及モデルの利用である。展望の焦点は、問題の政策関連的な局面、ならびに社会の今後の方向性に関連する局面に合わせる。
分析の視角としては、福祉と医療サービス活動の効果を、公共事業の経済波及効果と比較・評価する視点を用意し、同時に、問題のもつ中長期的な側面にも視野を広げる。それは、投資配分としての側面、構造改革への寄与との関連である。併せて、社会保障のセーフティネットとしての基底面での働きとの関わりをも踏まえる。以上を基礎として、公私ミックス化のもとでの、医療と福祉の活動のもつ産業連関特性の主要な側面を検出する。点検する領域は、医療の3部門(国公立、公益法人等、医療法人等)と、社会保険、社会福祉、および‘医薬品、医療機器と、それらの関連部門である。