2000 年 8 巻 p. 91-105
本稿では、医療経済学を、2つの観点から検討する。1つは行動科学として、もう1つは医療政策と医療サービス研究に資する学問領域としてである。医療経済学のこの二重の役割を示すために、指導的な医療経済学雑誌2誌と指導的なアメリカの医療経済学者3人の論文とそれの引用についてのデータを検討する。行動科学としての経済学を専攻している医療経済学者には、経済学における重要かつ比較的新しい5つの研究領域を推薦する。次に、医療政策と医療サービス研究に従事している医療経済学者に示唆を与える。その際、経済学の強みと弱み、価値判断の役割、学際的研究と多くの学問領域にわたる共同研究の潜在的可能性について検討する。第4節では、医療経済学への強い需要が今後も継続すると私が考える理由を述べる。最後に、主として医療経済学に最近参入した研究者への助言を述べて、本稿を終わる。