薬史学雑誌
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関東大水害(明治 43 年)における薬剤師の活動--医薬分業,飲用水検査--
五位野 政彦
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2020 年 55 巻 2 号 p. 218-226

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抄録

序論:薬剤師による最初の救助活動は明治 24 年の濃尾震災でみられた.本稿では明治 43 年の関東大水害において薬剤師がどのような災害救助活動を行ったかを調査した. 方法:次の施設に収蔵されている資料ならびに著者蔵の資料を調査した.東京都公文書館,東京薬科大学図書館,国立国会図書館デジタルコレクション 結果・考察:薬剤師が行った活動は 2 つに分類される.1. 医薬品供給 : 府立の治療所からは被災者向けに処方箋が発行され,日本薬剤師会東京支部会員薬局での無料調剤が実施された.2. 飲料水の検査,消毒薬の配布等の衛生薬学活動:飲料水の検査は府の検査員と薬剤師が共同で行った.これらの薬剤師の活動に対して,後日褒賞が行われた.特に神奈川県薬剤師会は,内務大臣からの表彰対象になった.

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