序論:1907(明治 40)年に発生した山梨県大水害において,薬剤師志村権左衛門が行った災害医療支援(飲用水の供給)について調査を行った. 方法:次の資料による文献調査を行った.国立国会図書館デジタルコレクション,東京薬科大学図書館所蔵史料,東京都公文書館収蔵史料,国立公文書館収蔵史料,山梨県ならびに山梨市公刊資料. 結果・考察:山梨県は四方を山岳に囲まれた地域であり,災害時には他府県からの援助物資の到着に時間を要する.その状況にあった山梨県大水害(1907(明治 40)年)において薬剤師?志村権左衛門は,医薬品供給ではなく飲用水の製造と配布という公衆衛生活動により被災者に対する災害医支援活動を行った.これは災害時等に医薬品供給が見込めない状況下でも薬剤師はその職能をもって支援活動が可能であることを 20 世紀初頭 に示した事例である.