薬史学雑誌
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日本薬学会が戦前に発行した『日本薬報』から見えてくるもの
小清水 敏昌
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2024 年 59 巻 2 号 p. 115-122

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抄録
目的:日本薬学会が 1926 年(大正 15)1 月に創刊した情報誌『日本薬報』について調査した.ここには薬学領域の各種の情報を載せ会員に提供していた.この発行によって薬学会の活動がどうなっていったかを調べた. 方法:日本薬報創刊号の 1926 年(大正 15)1 月から 1942 年(昭和 17)12 月発行までの日本薬報の掲載内容を調べた.月 2 回発行された新聞形式にはどのような論文や記事が載っているかを検証した. 結果:日本薬報には,薬学領域の幅広い情報が載せられていた.学術,行政ニュース,学会の動向,人事ニュース,俳句(俳壇),新刊紹介,新発売品,海外の薬事関連ニュースなど非常に多彩なテーマであった. 考察:研究成果を載せる薬学雑誌は 1881 年(明治 14)に創刊された.45 年後に初めて研究者以外の一般会員向けの姉妹紙の日本薬報を 1926 年(大正 15)に創刊した.日清,日露戦争や第一次世界大戦などの世界の動きから,人々は様々な情報を求める機運が生じたからと考える. 結論:掲載された論文や記事などから,当時の薬学人の強い想いが現在のわれわれに伝わってくる.歴史を学びつつ将来を俯瞰することが最も重要であると考える.
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© 2024 日本薬史学会
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