抄録
Cryptococcus neoformansの血清型A, B, C, D型のそれぞれ1株について, スライド凝集反応と相互吸収試験により抗原分析を行つた. その結果, A, B, CおよびD型はそれぞれ抗原1, 2, 3, 7: 1, 2, 4, 5; 1, 4, 6;および1, 2, 3, 8を所有することが明らかにされた. これらの抗原構造に基づいて1から8の各因子血清を作製し, 離株の血清型を判定したところ, 52株中49株が因子血清1, 2, 3および7と凝集するA型であつた. 残りの3株はA型とD型のそれぞれの特異抗原7および8の両者を所有する株でありA-D型と各づけた. これらの結果から, 抗原構造に基づいて作製した因子血清はC. neoformansの血清型の判定に使用されることが可能であり, わが国で分離されるC. neoformansは, ほとんどA型であることが示された.