2009 年 36 巻 3 号 p. 301-318
びまん性肝疾患の診断は,肝実質の組織性状解析から始まる.それにはBモードによる詳細な検討が必須であるが,腫瘤性病変と異なり肝全体が病変であるびまん性肝疾患では,病変と非病変を同一画面上で比較出来ない.このように多少とりつきにくいびまん性肝疾患の超音波診断ではあるが,すでに臨床現場では欠くことの出来ない最も身近な診断ツールとなっていることも事実である.本稿ではこのお役立ちツールをいかに使いこなすか,筆者の経験を通じ,Bモードを中心に述べる.また近年,組織歪みを応用した肝線維化診断,造影超音波による肝組織性状診断,スペックルシグナル解析による組織診断など様々な補助診断法が検討されているので,後半ではそれらにも触れる.