超音波医学
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総説
心エコー法による虚血性僧帽弁逆流の発生機序解明
尾辻 豊
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2011 年 38 巻 3 号 p. 231-242

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抄録

虚血性僧帽弁逆流の基本機序は,左室拡大により外側へ変位した乳頭筋が弁尖を異常に強く牽引しその可動性を低下させ(テザリング),弁尖閉鎖不全を来たすことである.弁輪拡大や左室機能低下は,中心的な機序ではないが,テザリングがあると弁逆流悪化に寄与する.乳頭筋機能低下は,僧帽弁逆流の原因であると考えられた.しかし,乳頭筋機能低下では僧帽弁逆流が出現しないことが何度も確かめられ,最近の研究では乳頭筋機能低下は僧帽弁逆流を弱める因子であることが確認された.外科的弁輪形成術は虚血性僧帽弁逆流に有効であるが,しばしば逆流が再発する.弁下部テザリングを治療する手技が求められている.僧帽弁テザリングは症例により多様であり,個々の症例の病態に応じた治療が望まれる.

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© 2011 一般社団法人 日本超音波医学会
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