超音波医学
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症例報告
Hypophosphatasia及びhypochondrogenesisの胎児超音波所見の特徴
早田 桂小松 玲奈関野 和辰本 幸子依光 正枝舛本 明生石田 理野間 純吉田 信隆
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2011 年 38 巻 3 号 p. 283-289

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抄録

骨系統疾患は100種類以上存在するが,個々の疾患頻度は低く診断に苦慮することが多い.中には予後不良な疾患も含まれ,正確な出生前診断を要する.今回,骨系統疾患を同時期に2例経験したので報告する.症例1は24歳.妊娠29週に大腿骨短縮を指摘され紹介.四肢全て短縮のため全肢節短縮型骨系統疾患と診断.胎児頭蓋内構造は明瞭に描出され,超音波プローブで胎児の頭蓋を圧迫すると骨変形を認め,hypophosphatasia(低フォスファターゼ症)を疑った.3D-CTでは頭蓋骨や椎体,両手足指の描出は骨化不良のため困難であった.出生児は生後20分後に死亡し,臍帯血ALP 5IU/Lであった.症例2は31歳.妊娠20週に大腿骨短縮を指摘され紹介.四肢全て短縮のため全肢節短縮型骨系統疾患と診断.大腿骨の短縮と骨幹端の末広がり,胸郭低形成より予後不良な四肢短縮症を疑い,正確な出生前診断には至らずも,同意のもと中期中絶を行った.後日死産児の全身X線写真よりhypochondrogenesis(軟骨低発生症)と診断した.2症例とも一般的に生命予後不良な四肢短縮症である.超音波補助診断として,近年3D-CTの有用性が報告され,胎児超音波によりスクリーニングを行い,3D-CTで確定診断を行う方法が適切との見方もある.3D-CTでは長管骨の計測に加え,細かい形態の変化や骨化の程度といった超音波では描出し難い所見を得ることが可能とされるからである.大腿骨短縮を認めた場合は四肢全ての計測を行い,胸郭低形成の有無を確認し,重症度の鑑別診断が重要である.

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© 2011 一般社団法人 日本超音波医学会
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