抄録
目的:甲状腺結節(腫瘤)の診療において超音波検査は最初に行う重要な検査である.結節の診断において良性・悪性の2段階評価の診断基準とそれ以上の多段階評価の診断基準がある.今回,我々は甲状腺結節に対する超音波検査による5段階評価による診断基準を細胞診,病理学的診断と対比して,その妥当性と有用性を検討した.対象と方法:5段階評価の超音波クラスは結節の形状,内部充実性か否か,内部エコーの性状,微細多発高エコーの有無,甲状腺外への浸潤の有無などを観察して5段階に評価した.2008年1年間の初診患者の甲状腺結節に対してこの診断基準を用いて診断し,それぞれの結節の超音波クラスを評価した.結節の超音波クラスの分布,超音波クラスと細胞診の相関,超音波クラスと病理学的診断との相関,超音波クラスごとの悪性の頻度,診断法の精度を検討した.結果と考察:分布では超音波クラス2の結節が最多を示した.超音波クラスと細胞診と病理学的診断の相関においては,超音波クラスが上がるにしたがって悪性の比率が増加した.病理学的診断を標準にして,超音波クラス4,5を悪性と規定すると,感度77.1%,特異度94.7%を示した.甲状腺結節に対する5段階評価による超音波診断法は細胞診,病理学的診断における良性・悪性の診断と相関した.結論:この超音波診断法は甲状腺結節の診療において充分に妥当性が存在し,臨床診断に有用である.