超音波医学
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特集「造影超音波 up-to date」
肝腫瘍に対する造影超音波
熊田 卓多田 俊史金森 明乙部 克彦竹島 賢治
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2014 年 41 巻 3 号 p. 325-337

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抄録

本稿は,我国の肝腫瘍の造影超音波診断のためのガイドラインについて記載した.肝腫瘍の日本超音波医学会の診断基準は,最初1988年に出版された.しかし,超音波機器や肝腫瘍の疾患概念の変化や最近の機器の進歩により,以前のガイドラインでは対応できなくなってきた.現在,本邦ではSonazoid®(ペルフルブタン,第一三共,東京,日本)が超音波造影剤として認可されている.今回の改正で,6つの主要な疾患(肝細胞癌,肝内胆管癌[胆管細胞癌],転移性肝腫瘍,肝細胞腺腫,肝血管腫,限局性結節性過形成[FNH])の鑑別診断に必要な,標準的な所見を掲載した.超音波所見はBモード所見,ドプラ所見および造影所見に分けた.Bモード所見は,腫瘍形状,境界線や輪郭,腫瘍マージン,腫瘍内,後方エコー,および付加所見から質的診断を行った.ドプラ所見は,血流,血管,血流特性(拍動波と定在波)および付加所見から質的診断を行った.造影超音波の時相は血管相および後血管相に分類した.血管相は動脈(優位)相と門脈(優位)相分けた.肝腫瘍の鑑別診断は,3つの相所見によって行われる.血管相は腫瘍の質的診断に,後血管相は腫瘍の存在診断に使用される.後血管イメージは「クッパーイメージ」ともよばれ,腫瘍における「クッパー細胞」の有無に密接に関係している.しかし,この言葉は,異論もあり今後の検討に委ねることとなった.

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© 2014 一般社団法人 日本超音波医学会
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