超音波医学
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特集「集束超音波(high-intensity focused ultrasound: HIFU)の臨床応用」
集束超音波治療の基礎
梅村 晋一郎
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ジャーナル 認証あり

2014 年 41 巻 5 号 p. 677-686

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抄録
超音波のもつエネルギーは分子レベルでは希薄であるが,それを熱として蓄積することにより,生体組織に不可逆変化をもたらすことができる.強力集束超音波(high-intensity focused ultrasound: HIFU)による治療はその応用に相当する.生体はそのずり粘性により超音波エネルギーを熱に変換するが,その変換効率すなわち吸収係数は超音波周波数におよそ比例するので,超音波が治療目的組織まで生体中を伝播する距離に応じて,周波数を選択する必要がある.超音波照射時間を,熱伝導による拡散が目立たない時間内,例えば,数MHzの超音波をFナンバー1程度に集束する場合,数sに設定すれば,集束超音波の空間的選択性を生かすことができる.一方,治療目的外組織の過熱を防ぐには,一般に,1~数分の血液の灌流による熱的時定数の程度の冷却時間を超音波照射間におく必要があり,これがHIFU治療のスループットを低めている.本稿では,これらを原理から説明するとともに,HIFUを照準し治療を監視するイメージング手段や,治療スループットを向上させる研究についても言及する.数式は,あくまで説明の補助手段とし,それによらずとも本質を捉えられるよう書いた.
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© 2014 一般社団法人 日本超音波医学会
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