超音波医学
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特集「集束超音波(high-intensity focused ultrasound: HIFU)の臨床応用」
子宮筋腫に対するhigh-intensity focused ultrasound ‐MR-guided focused ultrasound surgeryの有用性と今後の課題‐
福西 秀信高山 智子丸尾 猛松本 真一
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2014 年 41 巻 5 号 p. 687-698

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抄録
子宮筋腫の治療に関しては,子宮全摘出術が長きにわたり伝統的治療法であった.しかし,晩婚化が進む最近では,子宮温存を希望する女性が増加し,低侵襲の保存的治療への関心が高まっている.MRgFUS(MR-guided focused ultrasound surgery)による子宮筋腫治療は,メスを使わず,日帰り治療が可能で,日常生活への復帰が早いという利点があり,我国では2009年に薬事承認された.本治療に際しては,ExAblate 2000のテーブルに腹臥位になり,内蔵された208-エレメント・フェーズドアレイ トランスデューサーから発射される超音波が筋腫内に集束し,集束部分で60‐90℃となって筋腫組織が瞬時に熱凝固される.施療者は治療全工程にわたり細心の注意を払わなければならない.本法の治療効果は当院のアンケートでも70‐80%の患者満足度が得られており,筋腫の縮小や症状の改善,治療後の妊娠成立がみられている.しかし,治療中患者は腹臥位で不動の体位を数時間強いられること,超音波経路からの腸管排除に長時間を要することがあり,患者にとって不満の原因となる.治療後に十分な症状改善がみられず外科的治療を受ける例もあり,本治療適応症例の選択が重要である.重篤な有害事象はきわめて少なく,我国でも将来の挙児希望女性にMRgFUSの適応が広がるようデータを集積することが期待される.
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© 2014 一般社団法人 日本超音波医学会
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