超音波医学
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特集「臨床現場における運動器領域への超音波検査の位置づけと役割」
一般外来診療領域における運動器エコーの意義
笹原 潤高尾 昌人
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2015 年 42 巻 1 号 p. 5-19

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抄録
超音波検査は,表在組織を鮮明に描出することが困難であったため,整形外科では広く普及しなかった.しかし,近年における高周波リニアプローブの開発や画像構築技術の進歩により表在組織を鮮明に描出することが可能となった今,整形外科における超音波検査(運動器エコー)が急速に普及している.単純X線検査は,その低コストと簡便性から,一般外来診療における画像診断の中心であった.しかし,骨病変に対しては有用であるものの,軟部組織病変に対して有用とはいえない.一方,運動器エコーは,軟部組織病変はもちろん,多くの運動器疾患に対し有用であり,それらを「動きの中」で観察・評価することが可能である.さらに,簡便かつ非侵襲的にリアルタイムに行うことができるため,運動器エコーは一般外来診療における画像診断の第1選択となりつつある.最近の運動器エコーの技術進歩により,かつては画像描出が困難であった肘内障においてその病変部を直接描出できるようになり,また足関節捻挫により生じる様々な傷害においても,詳細な画像診断が可能となった.しばしば治療が長期化する凍結肩に対しては,エコーガイド下C5・C6ブロックを行い,その後にサイレント・マニピュレーションを行うことにより,疼痛や機能障害が短期間で改善するようになった.従来の一般外来診療における画像診断は,「まずレントゲン」が常識であったが,これからは「まずエコー」である.
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© 2015 一般社団法人 日本超音波医学会
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