超音波医学
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総説
造影超音波を用いた微細な組織血流の定量的評価
南 康範工藤 正俊
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2023 年 50 巻 6 号 p. 395-400

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抄録

造影超音波は高感度に血流シグナルを検出できることから活動性のある腫瘍部位を同定できる有用な検査であるが,組織レベルの血流量や微細な血流速度を定量的に測定することは困難である.そのため,造影超音波による血流定量の試みとしてtime intensity curveのパラメータ比較による報告がなされており,そのtime intensity curve解析の主なものとしてwash-in and wash-out curveとflash replenishment curveがある.ただし,計測で用いる関心領域の位置や大きさによって輝度値が大きく変動することは超音波検査の宿命であり,観察時間の長さによってパラメータに誤差が生じる得るリスクはcurve fittingでは避けられない.さらに,パラメータ比較では実際にどれだけの血流変化を表しているのかを臨床医が想像し難いという根本的な問題がある.一方,新しく発表されたContrast Vector Imaging®は造影剤バブルの軌跡を画像解析することで局所組織における血流速度を直接計測することができる画期的な画像技術である.造影超音波による血流定量の評価法が確立されれば,腫瘍の鑑別診断や化学療法の早期効果予測に大きく貢献するものと期待される.

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© 2023 公益社団法人 日本超音波医学会
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