2023 年 50 巻 6 号 p. 381-393
超音波診断は,X線のように被ばくすることがなく,胎児診断にも使えるような高い非侵襲性と安全性を有する診断法である.また超音波プローブを体表に当てるだけで生体の断層画像を取得することができる簡便性,装置の小型化が可能な可搬性も有し,ベッドサイドや手術現場での検査も容易に行うことができる.さらに心臓や血流など可動組織の観察のリアルタイム性にも優れ,臨床現場では欠かせない診断法となっている.Bモード(Brightness mode)は,超音波診断において最も基本的な画像診断モードである.生体組織内における複雑な波動伝搬様態を反映したBモード画像を正しく読影するためには,パルスエコー法に基づく画像形成の原理や画像の分解能,アーチファクトの発生メカニズムについて理解することが重要である.本稿では特にこれらをピックアップし,実験結果を交えて概説する.またBモードイメージングにおける新たな展開についても触れる.