超音波医学
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総説
心アミロイドーシスのエコー診断
宇宿 弘輝山本 英一郎尾池 史高潮 征爾辻田 賢一
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2024 年 51 巻 2 号 p. 87-96

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抄録

心エコー図検査は心アミロイドーシスのスクリーニングとして重要である.左室granular sparklingは心アミロイドーシスに典型的と言われていたが,心アミロイドーシス以外でも同様の所見のように見えてしまうことがあるため診断意義は薄れている.心エコー図検査における壁肥厚と心電図上の低電位も心アミロイドーシスの特徴的な所見と言われているが,定義上の低電位を認める割合は高くないため,心エコー図検査における心肥大と心電図上の電位の乖離を認めた場合に心アミロイドーシスを疑うべきである.左室Apical sparing現象(左室長軸方向のストレイン値[longitudinal strain: LS]が心基部から低下し,相対的に心尖部のLSが保たれる現象)も心アミロイドーシス診断に有用な所見として注目されているがすべての症例でApical sparing現象を認める訳ではない.また肥大型心筋症,ファブリー病,ミトコンドリア心筋症は,心アミロイドーシスと鑑別を必要とする心筋症として重要であり,これらの疾患における心エコー図所見の特徴を認識しておく必要もある.心エコー図検査は心アミロイドーシスの診断・鑑別に重要であるが限界もあるため,心アミロイドーシスの特徴を理解し,既往歴や家族歴などを「問診」しながら心エコー図検査を行うことが重要である.そして心エコー図検査所見に心電図検査所見や血液検査所見を加えて包括的に検討することで,心アミロイドーシスをスクリーニングすることが可能になる.

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