2026 年 53 巻 5 号 p. 287
本総説は,超音波専門医および超音波検査士のための超音波工学の基礎を解説する.臨床で映像化された観察対象部位の超音波Bモード画像の輝度分布を理解するためには,超音波診断装置で利用されている音圧や周波数帯域の生体組織での超音波伝搬やその音響特性(音速,反射,屈折,減衰)を知る必要がある.アーチファクト発生機序の理解の助けとなる.方位方向およびスライス方向の超音波ビーム形成や空間分解能の知識は,観察対象に適したプローブや画質条件を選ぶために重要である.組織ハーモニック映像法はBモード画像で標準的に利用されており,発生機序や映像化技術,その効果の理解は必須である.血流を観察するドプラ法の各種検査モードの原理を解説する.折り返し現象を理解することにより最適な速度レンジを設定することができる.周囲組織からのクラッタ信号を除去するためのMTI(moving target indicator)フィルタを説明する.クラッタ信号除去の性能を向上させた微細血流イメージング(microvascular flow imaging:MVFI)が開発されている.超音波造影剤ソナゾイド®を利用した造影ハーモニック映像法の原理を解説する.位相変調法と振幅変調法の原理を理解することにより,観察目的に合わせて使い分けることができる.