2020 年 12 巻 1 号 p. 54-60
本研究は,倫理的意思決定の局面における看護チームの実践を明らかにする目的で,大規模総合病院の中の1病棟の看護チームを対象に参与観察を実施した.流動的に変化する倫理的意思決定の局面において看護チームは,問題の本質の課題,患者の真意や価値について模索し,代弁者としての役割を果たそうとしていた.一方で,看護実践に影響を与える専門的価値の存在が浮き彫りとなった.専門的価値の影響から知らず知らずのうちに患者の願いより医療者としての価値を優先していることもあり,患者のみならず自身の価値の明確化の必要性と重要性が示唆された.