抄録
アレルギー表示は食物アレルギーの症状発現防止に繋がるものの、成長に伴って症状の誘発がなくなる過程である程度食べられるようになった患者にとっては、逆に表示があるがゆえに必要以上に食物選択の幅が狭められ、QOLに影響を及ぼすことがある。そこで大分県内のスーパーマーケットに流通する市販食品を用い、原材料に「小麦」の記載のある9種、複合原材料に「小麦を含む」36種、小麦の注意喚起表示のある9 種、及び通信販売等で市販されるアレルギー代替食品9 種中の特定原材料(小麦)の測定を行った。測定にはFASTKITエライザ小麦キットを用いた。米菓、冷凍食品に「醤油(小麦を含む)」表示が多く、小麦総タンパク質量は一部を除き数μg/gまたは検出限界以下であった。個別表示の対象原材料を確認した上で摂取できる加工食品を選択することが、家族の負担を軽減して患者の誤食を防ぎ、安全な食生活に繋がると思われた。