日本腎臓病薬物療法学会誌
Online ISSN : 2189-8014
Print ISSN : 2187-0411
原著
愛媛県の病院・薬局薬剤師に対して行った腎機能評価の理解度に関するアンケート調査
大塚 尚渡邊 亜貴
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2017 年 6 巻 3 号 p. 171-179

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抄録

慢性腎臓病(CKD)は幅広い疾患と密接な関係がある病態であるがゆえに必然的にCKD患者と接する機会が多い。また、CKD患者では腎排泄型薬剤を投与する場合には投与量の調節が必要となる。そのため腎排泄型薬剤はクリアランスが腎機能に依存するため、適切な薬物投与設計には腎機能の正確な把握が必要となる。ながらく腎機能の評価にはcreatinine clearance(CCr)が用いられてきたが、現在の腎機能の評価には推算腎糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate: eGFR)が用いられる。日本腎臓病学会が提唱したeGFR式より推算されたeGFRは簡便に結果を得られ、実臨床でも汎用されているが、未だCCrを用いている施設も多いのが現状である。そこで愛媛県の薬剤師の腎機能評価の理解度を把握し、今後の愛媛腎と薬剤研究会の活動に役立て、愛媛県全体で腎機能評価スキルの底上げを目指し、愛媛県の病院薬剤師会に登録している129病院、愛媛県薬剤師会に登録している558薬局、またその施設に在籍するすべての薬剤師に対しアンケート調査を行った。その結果、特にeGFRの理解に関して、体表面積補正値であるml/min/1.73m2と体表面積未補正値であるml/minの理解度が低く、腎機能を過剰に見積もってしまっている可能性が示唆された。愛媛県の薬剤師はまだまだ腎機能の評価に関して理解度が十分でなく、今後より安全な処方設計、投薬のために、愛媛腎と薬剤研究会でもさらなる啓蒙活動が必要であることが明らかとなった。

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© 2017 一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
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