屋久島の西方約12 kmに位置する活火山島の口永良部島は,植生環境が豊富であり,高い固有性と種多様性を有する.しかし,口永良部島の鳥類相に関する情報は,1974年と1977年の調査を除いてほとんど存在しない.そこで本研究では,口永良部島の鳥類の野外調査を2017年の冬季に実施した.調査の結果,7目18科34種の鳥類が確認され,そのうち11種が1970年代では確認されず,本調査で初確認されたものであった.1974年と1977年の鳥類の種組成は類似していたが,両年とも2017年の種組成とは類似していなかった.生息環境の解析から,2017年では過去と比較して,サンショウクイPericrocotus divaricatusやヤマガラPoecile varius,マミチャジナイTurdus obscurusなどの森林性鳥類の種数が増加し,スズメPasser montanusやツミAccipiter gularisといった開放地を好む鳥類が減少した傾向が確認された.耕作といった環境への人為的介入の減少が生息環境の変化をもたらし,その結果として,鳥類の種組成の相違が生じた可能性が考えられた.