日本鳥学会誌
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68 巻 , 2 号
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特集:コウノトリの野生復帰
序文
原著論文
  • 江崎 保男, 大迫 義人
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 183-192
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    コウノトリCiconia boycianaの野生復帰事業は2005年から北近畿の但馬地域で行なわれてきたが,2017年6月には,野外個体数が100を超えるとともに,徳島県鳴門市において但馬以外で初となるヒナが巣立った.本研究は,日本の再導入個体群確立の経緯を報告するものである.これまでに51羽がリリースされ136羽が巣立ち,これに大陸から飛来した2羽の野生個体を加えた189羽が個体群を構成してきたが,このうち6割にあたる119羽が現在,野外で生活している.本個体群の特徴は,3歳未満の未成熟個体が過半数を占めること,これに3歳以上の独身成熟個体を加えると8割が独身のフローターであること,に認められる.また,性比はメスに大きく偏っているが,このことは野外巣立ち個体の性比に起因している.また,オスの野外残存率がメスに比べて低いことが,性比の歪みを助長している可能性がある.しかし人里に生活する目立つ大型種であるが故に,直接的な人為の影響を正負ともに受けているのが実情であり,果たしてオスの死亡率がメスに比べて高いか否かは,今後の研究を待つ必要がある.

  • 田和 康太, 佐川 志朗, 宮西 萌, 細谷 和海
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 193-208
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    兵庫県豊岡市円山川水系の鎌谷川において,河川域から水田域までの連続性確保および上流の水田ビオトープにおける魚道設置と深場造成が水田魚類群集に与える効果を検証した.その結果,ドジョウMisgurnus anguillicaudatusやフナ属Carassius spp.が下流域から水田ビオトープへ遡上した.また,改修前には採集されなかったフナ属とタモロコGnathopogon elongatus elongatusが水田ビオトープ内で繁殖している可能性が高かった.さらにフナ属やタモロコ,ドジョウ,キタノメダカOryzias sakaizumiiは改修後の水田ビオトープを秋冬期の生息場所として利用していた.改修後の水田ビオトープにはコウノトリCiconia boycianaが周年飛来しており,水田ビオトープ内人工巣塔での初営巣,それら営巣つがいおよび幼鳥の水田ビオトープにおける採餌利用も観察された.以上より,健全な水域の連続性確保による水田魚類群集の保全がそれらを餌とするコウノトリの生息や繁殖に大きく寄与することが示唆された.

短報
総説
  • 西村 いつき, 江崎 保男
    原稿種別: 総説
    2019 年 68 巻 2 号 p. 217-231
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    本稿では,兵庫県がコウノトリ野生復帰事業を契機に県北の但馬地域で開発した,コウノトリ育む農法Stork-Friendly Farming Method (SFFM)の確立過程とその技術,普及啓発の歴史を述べる.この農法は,コウノトリCiconia boycianaの餌動物が一年中生息できる環境と稲作を両立させるため,化学肥料と農薬に頼らない抑草技術及び病害虫抑制技術を体系化したものである.主な技術を稲刈り後の秋季から時系列上に並べると,堆肥(牛糞堆肥・発酵鶏糞)と有機資材(米ぬか等)の投入,冬期湛水,早期湛水,複数回代かき,田植え直後の有機資材の投入,深水管理,中干し延期,であり,年に複数回行う畦畔の草刈りも含まれる.農法確立の過程では,農学分野で必要性が論じられながらも,農業現場で重視されてこなかった生態学の活用,特に水田雑草の生態を利用し,地域に特有の生態系を有効に活用することに重点を置いた.普及啓発では,農業者だけでなく,住民・消費者・小中学生を対象にして野生復帰の意義と必要性を啓発しつつ,育む農法の役割(餌場機能)と効果(抑草・病害虫抑制・付加価値・食の安全)の周知を行い,育む農法の実践者と,米を買い支える消費者を増やしてきた.その結果,野生復帰事業を活用した農産物のブランド化と,コウノトリをシンボルとする環境と経済の融合が実現した.

特集:島嶼生態系と侵略的外来哺乳類
序文
総説
  • 川上 和人
    原稿種別: 総説
    2019 年 68 巻 2 号 p. 237-262
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    小笠原諸島は太平洋の北西部に位置する亜熱帯の海洋島である.小笠原の生態系は現在進行中の進化の過程を保存するとともに高い固有種率を示しており,2011年にユネスコの世界自然遺産に登録された.しかし,1830年から始まった近代の入植により,森林伐採や侵略的外来種の移入などが生じ,在来生物相は大きな影響を受けている.小笠原では2種の外来種を含む20種の陸鳥と21種の海鳥の繁殖が記録されている.このうち7種の固有種・亜種が絶滅し,5種の繁殖集団が諸島から消滅している.絶滅の原因は,主に生息地の消失,乱獲,侵略的外来種の影響と考えられるが,特に外来哺乳類の影響が大きいと考えられる.小笠原諸島にはこれまでに10種の外来哺乳類が野生化しているが,このうちヤギ,イエネコ,クマネズミ,ドブネズミ,ハツカネズミが現存し,その生態系への影響の大きさから駆除事業が行われている.ヤギは旺盛な植食者であり,移入先ではしばしば森林の草原化,裸地化を促し,土壌流出を生じさせる.小笠原諸島では特に聟島列島でその影響が大きい.また,ヤギが歩き回ることで海鳥の営巣が撹乱される.ヤギは過去に20島に移入されたが,父島以外の島では根絶されており,海鳥の分布拡大が見られる.鳥類の捕食者となるネコは8島に移入され,現在は有人島4島に生残する.父島では山域のネコの排除が進み,アカガシラカラスバトColumba janthina nitensが増加している.ネズミは小笠原諸島のほとんどの島に侵入しており,無人島では駆除事業が進められている.根絶に成功した島では鳥類相の回復も見られるが,再侵入や残存個体の増加が生じている島も多い.外来哺乳類の駆除後には,想定外の生態系の変化も見られている.ヤギ根絶後には抑制されていた外来植物の増加が生じている.ネコ排除後にはネズミが増加している可能性がある.ネズミの駆除後は,これを食物としていたノスリButeo buteo toyoshimaiの繁殖成功の低下が見られている.複数の外来種が定着している生態系では,特定の外来種を排除することは必ずしも在来生態系の回復につながらない.このような影響を緩和するためには,種間相互作用を把握し外来種排除が他種に及ぼす影響を予測しなければ,保全のための事業がかえって生態系保全上の障害になりかねない.このため,外来種駆除を行う場合は複数のシナリオを想定し,生態系変化モニタリングに基づいて次のシナリオを選択し順応的に対処を進めていく必要がある.

  • 亘 悠哉
    原稿種別: 総説
    2019 年 68 巻 2 号 p. 263-272
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    近年世界各地で外来種の根絶事例が報告され始め,根絶が対策の目標の現実的な選択肢となってきた.このような先行事例で得られた知見を他の事業にフィードバックさせることができれば,外来種対策の全体の水準を上げることができるであろう.本総説では,根絶までの最終フェーズに到達している奄美大島のマングース対策の概要について紹介し,事業の過程で得られた知見について整理した.それらの知見に基づき,まず外来種対策を5つのフェーズに分割して外来種対策のロードマップの一般化を試みた.そして,フェーズごとに刻々と変化する外来種個体群の状況に応じて,対策の考え方や戦術を変化させる必要性を示した.次に,フェーズを突破するブレイクスルーを促進させる対策のガバナンスのあり方として,次々生じる問題の認識とそれに対応した対策が促進されるサイクルの重要性を示した.そして,この実現のためにも,関係者が主体的に参画する連携体制が必要であることを示した.最後に,外来種対策を進める際の実用的なチェックリストをフェーズごとに作成した.本総説で提示したロードマップとチェックリストが,各地で行われている外来種対策の考え方や方向性を検討する際のガイドラインとして活用されることが期待される.

原著論文
  • 鈴木 創, 堀越 和夫, 佐々木 哲朗, 川上 和人
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 273-287
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    小笠原諸島聟島列島は1881年から1944年まで人が住み,放牧や農地などの開発が行われた.聟島,媒島,嫁島は開発以前には森林が広く存在したが,野生化したノヤギが増加し,食害と踏圧等により森林の草地化や裸地化,土壌流失が著しく進んだ.これら3島では1999–2003年にかけノヤギの根絶が達成された.また,3島には外来種のクマネズミも生息していたが,聟島でのみ2010年に駆除が実施された.本研究ではノヤギ排除に伴う海鳥繁殖状況の変化を評価するため,2001–2017年に3–5年間隔で,海鳥類4種の営巣分布および営巣数の変化を記録した.その結果,ノヤギの排除により地上で繁殖する大型のカツオドリSula leucogasterとクロアシアホウドリPhoebastria nigripesは,初期に数十巣以上の繁殖集団が残存していた島では営巣数が速やかに増加したが,営巣数が少ない島では増加は限定的だった.中型で地中営巣性のオナガミズナギドリPuffinus pacificuは初期の営巣数が少ない島も含め全島で大幅に増加した.小型で地中営巣性のアナドリBulweria bulweriiは当初は全島で営巣がなかったが,聟島と媒島では新規営巣が確認された.但し,営巣数の増加は僅かで,クマネズミの捕食圧が原因の一つと考えられた.ノヤギの排除により海鳥の営巣数増加と繁殖地拡大が短期間で進んだことから,環境改変を介した間接的な影響より,繁殖地での徘徊による直接的な撹乱影響が大きかったと考えられる.またノヤギ排除後の海鳥の反応には種間差があることも明らかになった.大幅に営巣数が増加した3種は,いずれも草地や岩地など開放的な環境を好んで営巣する種である.聟島列島には人為的撹乱以前には森林繁殖性の海鳥が生息していたと推測され,開放地を好む海鳥のみが増加している現状は,偏った海鳥相を成立させていると言える.聟島列島の海鳥相を本来の状況に近づけるためには,森林の回復やネズミ類の排除を進め,森林繁殖性の海鳥の定着を促すことが望ましい.

総説(黒田賞)
  • 江田 真毅
    原稿種別: 総説
    2019 年 68 巻 2 号 p. 289-306
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル オープンアクセス

    日本において動物考古学は,遺跡から出土する動物遺体を資料として人類の過去を研究する考古学の一分野である.一方,動物遺体の分析からは,動物の過去の生態も復元できる.日本でも遺跡から出土した哺乳類の骨からその分布や大きさの時代的変化を復元する考古動物学的研究の例がいくつかある.しかし,小論で「考古鳥類学」的研究と呼ぶ遺跡から出土する鳥骨に着目して,動物側の視点からその過去の様相を調べる研究はほとんどなかった.日本には600種を超える鳥類が分布しており,その生態は多様である.歴史的な環境の変化に対する各種の応答も様々であったと考えられるため,哺乳類とは異なる生態変化の様相を検出できる可能性がある.遺跡から出土した骨を同定し,さらに骨の形態やDNA,組織,安定同位体比などを調べることで,分布や形態,集団構造,遺伝的多様性,食性など当時の鳥類の生態を復元できる.筆者らがこれまで取り組んできたアホウドリPhoebastria albatrusの研究では,この種がかつては日本海北部やオホーツク海南部にも分布していたことが分かった.また約1,000年前のアホウドリには体サイズと食性の異なる2つの集団があり,さらに2つの集団の子孫は現在鳥島と尖閣諸島に生息していることも明らかになった.これらの知見は,実際には2種からなる可能性があるこの危急種の保全の方向性を決定づける重要なものである.今後,次世代シーケンサーによるゲノムの比較や,コラーゲンタンパク分析が遺跡出土の鳥骨に応用されることで,考古鳥類学の発展が期待される.これまで鳥類の研究は主に進化的時間スケールと生態的時間スケールで進められてきた.考古鳥類学的研究から得られる情報は,これらの時間スケールの間を埋めるものであり,日本においても今後さらなる研究の発展が期待される.

原著論文
  • 岡久 雄二, 岡久 佳奈, 小田谷 嘉弥
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 307-315
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    ヤマシギScolopax rusticolaは日本国内では本州から南西諸島にかけての地域で越冬する夜行性の狩猟鳥である.生息状況に関する情報が乏しいことが個体群保護管理上の課題となっており,モニタリング手法開発が求められている.これまでに,環境省によりライトセンサスを用いた越冬期の生息状況確認手法がマニュアル化されているものの,ライトセンサスによって得られる在データのみを用いた分布や個体数推定手法は検討されていない.そこで,我々は冬期の佐渡島において夜間にライトセンサス法を行ない,ヤマシギの越冬分布を調査し,観察位置の在データをもとにMaximum Entropy Modelを用いてヤマシギの環境選択性と分布を推定した.モデルより,佐渡島の36.8(25.12–43.14)km2に79(54–92)個体が生息していると推定された.ヤマシギは水田面積が広く,気温の高い平野部に生息しており,既存の報告と異なり,耕作している水田が主な採餌環境となっていた.佐渡島ではトキNipponia nipponをシンボルとした環境保全型農業によって餌生物量が増加している事が知られるため,ヤマシギの採餌環境としても水田が高質化していることが示唆される.本研究で示したライトセンサスとMaximum Entropy Modelの組み合わせによって,全国のヤマシギの分布状況をモニタリングし,休猟区や鳥獣保護区の計画によってヤマシギの保護管理を行なうことが必要であろう.

  • 小田谷 嘉弥, 山口 恭弘, 熊田 那央
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 317-325
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    ハス田における水鳥類によるレンコンの採食被害の防止のために,防鳥ネットが日本各地で用いられている.本研究では防鳥ネットの侵入抑制効果を検証するため夜間のハス田への飛来数および在不在を指標として,防鳥ネットの効果を他の環境要因と合わせて一般化線形混合モデル(GLMMs)で検証した.2011年の2月–3月(春期)と10月–12月(秋期)にそれぞれ6回の野外調査を茨城県土浦市およびかすみがうら市の80か所のハス田において行い,飛来している水鳥類の個体数を調査した.個体数の平均値は,春期,秋期ともに防鳥ネットを張ったハス田で少ない傾向が見られたものの,水鳥類の飛来数を目的変数としたモデル解析を行ったところ,いずれの季節/種においても防鳥ネットの有無や設置方法の違いは水鳥類の飛来数に影響を及ぼさなかった.一方,ハス田に残されたくずレンコンの量は,カモ類とオオバンFulica atraの合計,カモ類の合計,ヒドリガモAnas penelopeと秋期のマガモA. platyrhynchosの個体数に正の影響を与えており,湖からの距離は春期および秋期のオオバンの個体数に負の影響を,春期のヒドリガモに正の影響を与えていた.すなわち,防鳥ネットによって水鳥類の侵入を有効に抑制できているとは言えず,ハス田における被害対策のためには,防鳥ネットの隙間を作らないような適切な設置に加え,くずレンコンの除去などハス田の環境を考慮した対策が必要であることが示唆された.

  • 松井 うみ, 三上 修
    原稿種別: 原著論文
    2019 年 68 巻 2 号 p. 327-333
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    スズメPasser montanusがサクラPrunus sp.の花を盗蜜する際,花托筒を噛み切る.その結果,花が地面に落ち花見に影響する可能性がある.そこで本研究では,花見の名所である北海道函館市五稜郭公園において,花見期間中スズメの盗蜜によってどれだけのサクラの花が落とされているのかを定量化する調査を行った.調査の結果,公園内全体の花の少なくとも0.19%,多くとも0.49%が落とされていると推定され,被害はそれほど大きいとは言えないことが明らかになった.

短報
  • 手井 修三
    2019 年 68 巻 2 号 p. 335-341
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー
    電子付録

    石川県金沢市の住宅地において,鳥類の水浴び,砂浴び,飲水ののべ個体数を2010–2017年に記録した.スズメPasser montanus(3,875羽)の各行動の年別のもっとも多いピークは,季節変化では水浴び9月,砂浴び8月,飲水6月.日周変化では水浴び14時台,砂浴び18時台,飲水18時台であった.

  • 庄子 晶子, 杉山 淳, 谷 日向子, 新妻 靖章
    原稿種別: 短報
    2019 年 68 巻 2 号 p. 343-347
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    北海道内で繁殖する魚食性猛禽類であるミサゴ Pandion haliaetus 成鳥と雛(各n=1)の羽を別々に採集し,総水銀濃度を測定した.2008年に北海道北部の豊富町で採集したミサゴ成鳥の羽は5.17 µg/gであり,2016年に北海道西部の神恵内村で採集したミサゴ雛(約5週齢の死体)の羽の水銀濃度(乾重量)は1.84 µg/gであった.この結果は,これまでに日本国内外で報告されている水銀濃度値の範囲内であった.日本におけるミサゴの水銀蓄積については情報が乏しいことから,その実態解明には今後もさらなる調査を行う必要がある.

  • 玉田 克巳, 池田 徹也
    2019 年 68 巻 2 号 p. 349-355
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    北海道においてスズメPasser montanusを対象とした鳥類標識調査を実施して,8か月以上経ってから成鳥3羽を再捕獲した.嘴基部の色は,1羽が黒色で,2羽が黄色であった.野外観察の結果から,6月から7月までの間,幼鳥の嘴基部の色は黄色であったが,成鳥は黒色であった.9月から12月は,ほとんどすべて個体が黄色になり,1–2月には黒色の個体の割合が増加し,3–5月にはすべて黒色であった.このことから嘴基部の色は,季節変化することが考えられた.オスの計測値は,体重,自然翼長,尾長で有意に大きかった.自然翼長は67.7 mmを境界値として性判定ができ,誤判別率は90%であった.

  • 高塚 星花, 飯田 恭平, 橋本 洸哉, 松谷 実璃, 澤畠 拓夫, 早坂 大亮
    原稿種別: 短報
    2019 年 68 巻 2 号 p. 357-365
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー
    電子付録

    屋久島の西方約12 kmに位置する活火山島の口永良部島は,植生環境が豊富であり,高い固有性と種多様性を有する.しかし,口永良部島の鳥類相に関する情報は,1974年と1977年の調査を除いてほとんど存在しない.そこで本研究では,口永良部島の鳥類の野外調査を2017年の冬季に実施した.調査の結果,7目18科34種の鳥類が確認され,そのうち11種が1970年代では確認されず,本調査で初確認されたものであった.1974年と1977年の鳥類の種組成は類似していたが,両年とも2017年の種組成とは類似していなかった.生息環境の解析から,2017年では過去と比較して,サンショウクイPericrocotus divaricatusやヤマガラPoecile varius,マミチャジナイTurdus obscurusなどの森林性鳥類の種数が増加し,スズメPasser montanusやツミAccipiter gularisといった開放地を好む鳥類が減少した傾向が確認された.耕作といった環境への人為的介入の減少が生息環境の変化をもたらし,その結果として,鳥類の種組成の相違が生じた可能性が考えられた.

  • 鳥居 憲親
    原稿種別: 短報
    2019 年 68 巻 2 号 p. 367-373
    発行日: 2019/10/25
    公開日: 2019/11/13
    ジャーナル フリー

    岩礁海岸におけるイソヒヨドリMonticola solitariusの採食生態を明らかにするため,新潟県の海岸で本種の採食行動を調査した.イソヒヨドリは岩礁だけでなく隣接する砂浜,草地,森林といった様々な環境で採食を行なった.しかし,どの環境でも採食に主に利用していたのは開放地の地表であった.また,餌生物は3 mm未満の小動物が多かった.これらのことから岩礁海岸でのイソヒヨドリの採食生態は開放地の地表で小動物を摘み取るジェネラリストであることが示された.そして岩礁海岸でのイソヒヨドリのこのような採食生態は,内陸都市での採食生態とも合致した.

観察記録
その他
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