本稿では、科学技術分野でいかなる政策評価が有意義かつ実行可能かについて、フランスを参考に検討する。本稿は、①フランスの評価制度の変遷、②制度運用における試行錯誤、③その後の司令塔整備とそれに付随する諸問題、の3部構成である。フランスでは、ド・ゴール大統領により、諮問機関が科学技術(政策)に関する「モニタリング」の結果を政策決定者に「アドバイス」するという型が作られ、1980年代に左派への政権交代などを背景に政策評価システムが整備され、その後「頑強で信頼できる」評価の確立に向けた試行錯誤があった。そこでモニタリングと人的・組織的マネジメント、さらにはアドバイスとのリンケージが課題として残り、1990年代以降、国家戦略策定の必要性の高まりもあって、司令塔が整備されていった。教訓として、プロアクティブなモニタリング、評価対象者・評価者・政策決定者の制度的配置を含む、一連の評価プロセスの設計に留意すべきと論じる。