医師が精神的に健康であることは,医師個人が1人の職業人としてキャリアを充実させるだけでなく,患者に質の高い医療を提供する上でも欠かせない.欧米では以前より,医師に特化したメンタルヘルス支援が提供されてきている.新型コロナウィルス感染症の拡大を機に,医師のメンタルヘルス問題が以前にも増して注目されるようになってきたが,日本においては医師への支援がまだ不十分な可能性がある.医師の健康を維持するために必要な3要素としては,病院組織の健康風土,臨床現場の効率化,個人のレジリエンスが挙げられている.本報告では,医師個人のレジリエンスを高めることに着目したセルフケア研修プログラム開発の過程及び,実際の試行を経て得た知見をもとに,今後の活動方針を述べる.