日本小児血液学会雑誌
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新生児呼吸窮迫症候群および新生児慢性肺疾患患児における血漿および尿中の可溶性トロンボモジュリンの動態
中河 いよう高橋 幸博野並 京子塚田 周平吉岡 章
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1997 年 11 巻 3 号 p. 162-166

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抄録
トロンボモジュリン (以下TM) は血管内皮細胞上の重要な凝固制御因子として機能する.また, 血中や尿中には血管内皮細胞から遊離した可溶性TM (以下sTM) が存在する.特に血中のsTMは血管内皮細胞の障害, 破壊過程で各種プロテアーゼにより分解されて生じるため, 血管内皮細胞の損傷マーカーとしても注目されている.われわれはこれまでに正常児における血中および尿中のsTM値の年齢別推移を示し, さらに正常児においては血中と尿中のsTM値はよく相関することを報告した.今回われわれは, TMが肺に多く存在することから, 呼吸窮迫症候群 (RDS) および新生児慢性肺疾患 (CLD) のsTM値を測定した.その結果, RDSでは出生時検体 (臍帯血) でnonRDSと有意差はなく, CLDでは正常児に比べ有意に高値をとることがわかった (血中sTM p<0.001, 尿中sTM p<0.05).
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