1993 年 7 巻 2 号 p. 117-121
Heparin添加二次元交叉免疫電気泳動 (CIE) により小児DIC2症例のATIII抗原分画の検索を行った.正常血漿中のheparin添加CIEでは主峰である陽極側のIATIII1と, より陰極側のIATIII2およびIATIII3 (cathodal components) が認められるが, DIC症例ではATIII量にかかわらず, 同年齢の正常小児に比べてcathodal componentsの増高を認めた.この増高は, thrombin/antithrombin III複合体 (TAT) の増加と相関していた.TATの動態に加え, heparin存在下のATIIIのCIEは, DICの診断および病態の解析と病勢の判定に有用と思われた.