薬剤師養成を主たる目的とする薬学教育が6年制に移行して,10年余が経過した.従来,日本の薬学部は基礎科学における発信力をもとに発展してきた.しかし,「患者本位の視点」,「臨床現場との連携重視」,「臨床現場における問題解決能力の養成」などの6年制教育の基本理念は,薬学教員に発想の転換を迫るものであり,人材養成の目標を重視したカリキュラム設計やこれに基づいた教員相互のFD活動が求められている.2012~2016年度に採択された文部科学省大学間連携共同教育推進事業「四国4薬学部連携事業」では,高度な実践能力を有する臨床薬剤師や臨床薬学分野の研究者を養成する枠組の構築を目指して様々な取り組みを実施してきた.本稿では,同連携事業の取り組みから「海外薬学教育調査」について紹介すると共に,この調査で得られたヒントをもとに日本の6年制薬学教育へのフィードバックについて論じたい.